山口市議会議員 入江幸江のホームページ/議会質問
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 平成23年(2011)12月議会

一般質問 
  
 

ア.やまぐち市の台所事情

   山口家の年間収入は735万4千円。主な内訳を見ると、生活費が346万1千円で約半分を
   占めています。子供への仕送り(繰り出し金)町内会費、サークル会合の会費(補助費等)が
   132万4千円、ローンの返済108万円、自宅の増築や改修、資産保全等で118万8千円
   を支出しています。

   一方収入は給料や家賃収入を合わせて303万1千円ですが、これだけでは支出額を賄うこと
   ができないため、パート収入38万8千円や親などからの協力・援助351万2千円に頼って
   いるのが現状との説明です。

   国も台所は火の車で大変な状況のようです。いつまで親からの協力・援助が続くのか不透明で、
   どうなることか取り越し苦労かもしれませんが、大変心配をしております。

   消費税を上げる事で、社会保障関係経費の財政支援が安定するのか注視しなければいけません。

   社会福祉国家の北欧では25パーセントの税金を納めているので将来も安心というふうに聞いて
   おりましたが、最近はそうでもないようです。
なぜかと言うと、生活保護受給者が急増し、問
   題になっているようです。

    税金が納められて初めて福祉国家が成り立つのです。

   山口市は今年度3月に「山口市財政運営健全化計画」策定され行政改革に取り組まれています
   が、将来の見通しについて収支不足に陥る見込みとなっていることから、32年度はマイナス
   6億円、33年度はマイナス12億円となっています。

   そこでお伺いいたします。

    ※この8年間で「山口市総合計画」に基づいたまちづくりを着実かつスピード感を持って進めなけ
   ればならないとの見解をお持ちですが、来年10月に総合計画策定の見直し最終案をまとめられ
   る中にも当然スピード感をもった計画となるのかお伺いします。また何を重点的にしなければな
   らないとお考えなのかお伺いいたします。
 
 
  ※持続可能な財政規盤の確立を図るためにどのような対策を考えておられるのかお伺いいたしま
   す。

  
  ※最小の経費で最大の効果の実現を目指されておられますが、市民ニーズや事業効果等から事業
   の優先度や実施方法を常に検証し最小の経費で最大の効果の実現を図るとされていますが、具
   体的にどのような検証なのか、最大の効果とはどのような事なのかお伺いいたします。




総合政策部長答弁

 入江議員の「山口市の台所事情について」の数点のご質問にお答えいたします。

 まず、山口市総合計画の見直しについてでございます。ご案内のとおり、本市におきましては、平成20年
 度から29年度までを計画期間とする山口市総合計画の折り返し地点を迎えるにあたり、その中間見直しと
 して本市を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえる中で、各施策の着実な推進はもとより、施策横断的な
 課題に対応すべくプロジェクトを構築していくこととしております。
   
 この総合計画の中間見直しにおきましても、「広域県央中核都市の創造」と「協働のまちづくり」の推進をま
 ちづくりの大きな柱に据える中で、都市としての骨格づくりや、様々な行政課題に対応できる基盤づくりに、
 計画的、効果的に積極性を持って取り組んでいく必要があるものと考えているところでございます。

 次に、持続可能な財政基盤の確立についてお答えいたします。

 本市の財政状況につきましては、「山口市財政運営健全化計画」におきまして、中期財政計画及び計画期
 間後の財政見通しをお示ししておりますとおり、平成31年度までは概ね収支の均衡が図れる見通しでござ
 いますが、平成32年度以降におきましては、歳入面において、普通交付税の合併算定替が平成27年度
 から次第に減少し、平成32年度をもって終了するほか、歳出面においても、今後、少子・高齢化の進展等
 により、社会保障関係経費等の増加が見込まれますことから、大変厳しい財政運営となるものと予想してい
 るところでございます。
  
 こうしたことから、財政運営健全化計画の基本方針にも「持続可能な財政基盤の確立」を掲げ、合併に伴う
 財政支援措置が終了した後の、厳しい財政状況を見据えた対策に取り組むこととしております。

 具体的には、内部管理事務経費等の抑制や行政評価システムの活用による事務事業の徹底した見直しな
 どによる歳出の削減をはじめ、使用料・手数料の見直しや市有財産の有効活用などによる歳入の確保など
 今後も引き続き歳入歳出の両面から不断の行財政改革を一層進めてまいります。

 また、合併による手厚い財政支援措置があります今の期間に、山口・小郡両都市核における経済産業基盤
 づくりや、企業誘致等を積極的に推進することによりまして、市税の増収など将来的な自主財源の確保を図
 ることとしております。

 今の期間のこうした取り組みにより、市債の発行額は一時的には増加する見込みでございますが、市債の
 活用につきましては、健全化計画に実質公債費比率や将来負担比率の目標数値を掲げておりますことか
 ら過度に依存するのではなく、合併特例債や過疎債等の交付税措置率が高い有利な市債を積極艇に活用
 することにより、市税で負担することとなる実質的な市債残高の抑制に努めてまいりたいと考えております。

 さらに市債の発行に伴い後年度負担となる公債費につきましては、減債基金を活用・運用いたしまして、繰
 上げ償還をはじめ、償還期間や措置期間の圧縮による利子負担の軽減に取り組み、将来の負担軽減も図
 っていくこととしております。

 このほか、基金につきましては、決算剰余金の積み立てにより、財政調整基金残高の増加に取り組むとと
 もに、入札減などの不用額を、将来の財政運営に備えるため、減債基金をはじめとした特定目的基金への
 積み立てに活用することとしております。

 また、将来の地域振興事業の財源に活用するために、合併特例債を活用致しまして、40億円の基金を造
 成することといたしております。

 いずれにいたしましても、毎年度の予算編成の過程の中で、中長期的な財政見通しを明らかにしながら、健
 全で持続可能な財政運営に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、最少の経費で最大の効果の実現についてのご質問にお答えをいたします。

 最少経費で最大効果をあげていくための事業の優先度や、実施手法などを検証する方法といたしましては
 これまで行政評価の取り組みを通して、個々の事業がまちづくりの推進に対して、どの程度貢献しているの
 か、事業の手法等を工夫、見直しをすることで、更に成果の向上やコストの削減を図ることはできないかと
 いう観点で、定期的、継続的に検証を行っているところでございます。そしてその結果をふまえ、どのような
 ことに、どの程度力を入れていくことが必要なのかという判断を行っているところでございまして、今後もさ
 らにこうした評価の精度を高める中で十分な費用対効果を図ってまいりたいと考えているところでございま
 す。

 また、議員お尋ねの「最大の効果」とは、端的に申し上げれば、市民の皆様にしっかりと満足していただけ
 ることであると考えておりますが、これをより分かり易く「山口市の台所事情」になぞらえて、“台所”の例え
 て御説明いたしますと、安く、質の良い食材をもとに、味付けなどの様々な工夫を凝らす中で、一段と美味
 しい料理を作り、家族に笑顔で喜んで食べてもらえること、このように申し上げることができようかと思いま
 す。

 いずれにいたっしましても、将来を見据えた財政基盤を確立していく中で、市民の皆様の生活の質を高め
 てまいりたいと考えているところでございます。  
 
   
 イ.予算編成方針

   @山口情報芸術センター(YCAM)

メディアテクノロジーと身体をめぐる新しい芸術表現を追求する複合文化施設。身体表現の場
であるシアター「スタジオA」アート作品を制作展示できるアートホール「スタジオB」コン
ピューターによる作品制作が可能なラボ「interlab/専任エンジニアが所属」の3つが融合さ
れた世界的にも稀な機能を有した施設。平成15年から8年経った山口情報芸術センター通称
YCAMについて数点のお尋ねを致します。

 情報芸術センターの運営費や事業内容についても過去多くの同僚議員が質問をされておりま
す。しかし、一向に変わる気配もなく、ますますメディアアートに突出していることに違和感
を感じております。

平成22年度の山口芸術センター収支決算は大きく2つに大別されています。

1.施設維持管理費は1億7千3百万円

2.自主事業費は2億2千880万円となっています。
     自主事業費の支出の内訳をみると、49.4%が人件費になっています。職種によりますが民
   間企業では人件費は約30%以内が企業運営の為の安全基準と聞き及んでおりますが、なぜ山
   口情報芸術センターは約半分が人件費なのか理由をお聞かせください。

 

   インターラボについて
      interlab/専任エンジニアが所属」のインターラボの創作活動を市内外に紹介したいとの思
    いをお持ちですが

   ※メディアアートを専門とした開発チームの組織体制や人員はどのようになっているのかお伺
    い致します。
 

   ※国内外の専門家を招聘して専門家を目指す人たちの活動を支援されていると伺っていますが、
    市民が先端技術に関わり、さらに学び発表する環境が必要と思いますがその取り組みと人材
    育成についての方向性をお伺いいたします。

   平成24年度の情報芸術センターの予算編成方針についてお伺いいたします。

    本年の3月議会の概況説明では、山口情報芸術センターを芸術文化の創造発信拠点として、ま
   た世界をリードするアート拠点として成長させるため、メディア芸術の創造発信機能にさらに
   磨きをかけるとともに、特徴的な機能であるYCAMインターラボ、すなわち創作活動、そう
   した取り組みを市内外に紹介いたして参りたい・・・。と言われ、来年度は本市の成長戦略の
   一端を担うべく、文化施設という枠を超えて、他分野とも連携した幅広い取り組みを進めてい
   く都市ブランドの構築に向けた新たな価値創造と位置付けた予算を提案されようとしておられ
   ます。さらに、平成25年度のYCAM10周年の記念事業の準備も進められようとしていま
   す。そこで数点お伺いいたします。

  

   1.メディア芸術は本市の成長戦略になるのか。

 B105:マルチスペース - 3331 Arts Chiyoda:アーツ千代田3331:3331 ...

アーティスト主導、民設民営の参画、領域横断のスタイルを旨とし、東京と日本各地、また東京と東アジアのハブとなる

21世紀型オルタナティブ・アートスペース」です。

 

  

    昨年11月10日に東京のB105(アーツ千代田)でメディア芸術オープントーク第1
    『メディア芸術』ってよくわからないぞ」が開催されました。


       内容は「メディア芸術」とは一体どのような分野なのか、そもそもこれは芸術と言ってい
    いのか、といったそもそも論をみなさんと話てみたいと企画されたものです。東京でもまだ
    理解できていない方がおられるということです。


    メディア芸術は東京でも一部のマニアックな方々の芸術だと言われており、それをここ山口
    で取り入れ、マニアックなメディア芸術を本市の成長戦略と位置付けようとされておられま
    す。

    その為に、市長は市民のメディアリテラシーの向上つまりメディア理解を向上させると言わ
    れますが向上したのでしょうか?


      世界的な最先端技術を用いた企画事業、アートとテクノロジーの融合による新しい芸術的価
    値を創造し、アジアをリードするメディアアートの拠点としてまた、新しい芸術の創造を促
    すプラットフォームとして成長することが本市のまちとしての価値を高める事に通じるもの
    であるとお考え考えですが、具体的にどのような成長戦略になるのかお伺いいたします。

  

   2.メディア芸術の活用が芸術文化の価値創造になりうるのか。!

   「文化庁メディア芸術祭」は、メディア芸術の創造とその発展を図ることを目的として、平成
   9年度(1997)から始まっています。現在ではアート、エンターテインメント、アニメー
   ション、マンガの4部門で世界中から作品を募り芸術祭がおこなわれています。

   2010 年2月には第3次の「文化芸術の振興に関する基本的な方針」が閣議決定されました
   が、その中でも、メディア芸術祭に関して、新人発掘、新人育成の場となるようにという提言 
   がなされております。このことはご周知のことと思います。

   本市もこのメディア芸術祭にアート部門で平成17年度2つ、H20年と平成21年度に審査委
   員会推薦作品に選ばれておられます。そこで不思議に思ったのが、なぜ個人個人で応募する文
   化庁メディア芸術祭になぜ自治体が支援するのかということです。

  先程の話に戻りますが、そもそもメディア芸術とはという討論の中で、音楽は「メディア芸
   術」なのか否かという問いもあるようです。「YMO以降の音楽はすべてメディア芸術だと肯
   定する方もおられたようですが、メディア芸術祭には音楽部門が無いし、メディアコンソーシ
   アム事業にも音楽は含まれないようです。

  
     今年2月に開催された芸術祭の後、メディア芸術祭の14年間を振り返ってという部門別セ
   ッションが2月11日に東京ミッドタウンアカデミーで開催されました。その報告書の中から、
   座長の最初の言葉を御紹介します。

   〈文化庁メディア芸術祭〉のテーマ作品は、商品として現状ではストックにならずに短期間で
   見られなくなってしまうことが多いが、しかしその時代を反映する優れた作品をしっかり記録
   にとどめておこうということ。文化庁が行うということで、ビジネスとは関係なく作品本位の
   評価ができることも含め、政府の顕彰事業でこそ可能なことをしていこうということ。と述べ
   ておられます。まだまだ続きはありますがこれくらいにいたしますが、セッションでも、文化
   庁でも世界からの評価は高いがまだまだメディア芸術そのものがまだ日本になじんでいないと
   の思いをもっておられるのではないでしょうか。それをここ山口でメディア芸術の活用を価値
   創造にしようとされている事について質問致します。

本市で滞在して制作された作品はどのような取り扱いになっているのでしょうか。世界に発
信され、再演されそしてそれはどのような形で残されているのでしょうか。


メディア芸術のセッションの中でも話されていますが、メディア芸術は作品を作り上げた時が
旬であると言われています。またこれは言いかえると時間が経つとそれは陳腐なものになって
いくということではないでしょうか。何百年後も世に残る芸術作品にはならないと思います。

 

メディアテクノロジーを追求しようとすれば、特にコンピューターの性能は短期間で進歩し、
高度な事をしようとすればする程新しい機械が必要になるし、当然寿命は短くなるのが道理だ
と思います。

平成22年度の自主事業費のうち収入の部ではチケット収入、助成金、雑収入等を合わせて
11.4%残りの88.6%が市からの補助金です。それだけの投資をし、何が残るのか?何が
残ったのだろうかと考えてみても心を広くもってみても答えは出てきません。

大内文化は今に残っています。大内氏は多くの芸術家のパトロンとして芸術文化をこの山口
   にもたらしました。パトロンと言えば高杉晋作を支えた下関の豪商白石正一郎は貿易商を営ん
   でおりましたが、高杉から夢を語られ、賛同した正一郎は自分の財をすべて投げ出し、奇兵隊
   を支えたと言われています。とうとう破産してしまいますが、彼の夢は新しい日本をつくりた
   かった、きっとそれで満足だったのでしょう。


   高杉晋作とメディア芸術を比較することははばかられますが、山口市が白石正一郎の轍を踏む
   のではないかと心配しております。


     少し前置きが長くなりましたが、市の補助金をメディア芸術に特化しつつある運営に対しての
   質問を致します。

メディア芸術が本当に芸術文化の価値創造なりうるのか分かりやすく理解できるよう説明を
   お願い致しいます

 
     3.メディア芸術が市民に受け入れられているのか?

    山口芸術センターのメディア芸術を市民に理解していただくためにあの手この手で、世界か
 ら注目をされているスペイン、韓国、アジア
から、そして各種の受賞等やメディア芸術を生か
 した海外戦略におけるコンソーシアム構想(いわゆる共同事業体)に芸術センターをその拠点
 としてしっかりと位置付けると言われれば言われるほど市民はしらけているのです。お分かり
 にならないのでしょうか。先程も申しましたがメディア芸術がそもそもが受け入れられないの
 です。市民にはとうてい理解されているとは思えません。そのギャップを感じられていないの
 か不思議でなりません。

先の答弁では平成21年度から平成25年度までの5年間のミッションや事業の方向性を明ら
 かにするため平成21年3月に事業計画を策定し、その策定に当たっては市民のみなさまの参
 画を得る事により、その意見を反映され、市民アンケートを実施する等市民の皆様の意識や要
 望等を積極的に取り入れている。また、毎年の事業計画に関しては、公益財団法人山口文化振
 興財団の評議員や理事会において、文化協会や各大学、商工・観光団体、国際交流団体といっ
 た民間団体のみなさまから幅広い御意見を頂いているとの答弁がありました。確かに以前は会
 議録が公表されていて会議の内容を知ることが出来ました。平成18年7月までは企画運営会
 議が開催され公表されていました。今年度公益財団法人に移行してから会議録は無いそうで
 す。
 このような状態では、何がどのように決まって行くのか市民にはなおさら分かりません。

 市民がどのように感じているのかを市長としてどう捉えられているかお伺いいたします。

 

  4.10周年に向けた記念事業の準備が始まるようですが、

 

   ※坂本龍一氏に決まったいきさつは?

   ※坂本龍一氏の何に期待されるのか?

   ※2011年12月16日のメディアレクチャーの事業費。

      ◎メディアレクチャーの前売り券は11月19日からチケット販売が始まりましたが、
     すでに前売り券は完売したようです。県外や外国からの問い合わせ状況が分かれば
     お示しください。

   ※2013年11月に向けた10周年の記念事業費の見積もり額。

   ※2012年の関連事業費見積もり。

 

 

  5.平成22年度に優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業で採択された採択年数5年で
    4,554万円のYCAM・ダンス×メディアから始まるコミュニティ・プロジェクト
    の事業内容をお伺いいたします。

 
 
総合政策部長答弁

  私からは、山口情報芸術センターについてのご質問にお答えいたします。

  まず、事業費に占める人件費についてでございますが、山口情報芸術センターは、制作機能を有し、山口
  発オリジナル作品を創作することを大きな特徴としており、音響、照明、舞台機構、映像などの専属スタッフ
  をはじめ、教育普及の携わる人材などを有しております。こうした人材を、総合的に活用し、事業を展開して
  いるものでございまして、結果として、ご案内のとおりの人件費の割合となっております。参考までに、同じく
  学芸員など専門スタッフを有し、企画事業や研究を実施している中原中也記念館の場合は、平成22年度
  で約70%となっております。いずれにいたしましても、人件費の割合につきましては、事業内容や実施形
  態など施設の機能や特性により、異なるものと考えております。

  次に、YCAMインターラボにつきましては、メディアアートに限らず、舞台芸術作品普及プログラムにおきま
  しても、技術スタッフとしてサポートするとともに、さまざまな技術開発や研究などを行っているところでござ
  います。陣容につきましては、高度な専門性を持つ技術者が、全国各地から集まっており、音響担当3名、
  照明担当1名、舞台機構担当2名、映像担当2名、デザイン担当1名で、うち本市出身者2名を含む9名体
  制となっております。

  なお、人材育成に関しましては、平成21年3月に策定いたしました山口情報芸術センター事業計画にお
  きましても、「豊かな感性と創造性を持った「“ひと”づくり」を基本的方向性としており、創造的な人材育成を
  、センターの大きな柱として位置づけ、積極的な展開を続けているところでございます。

  また、センターでは市民が先端的な技術や芸術に関わり、学習する機会の提供といたしましては、年間を
  通じてさまざまなワークショップを開催いたしております。平成22年度には、12の事業を実施し、全体で
  1,127名もの参加があるなど、その大半である多くの子供たちの参加をいただいております。それらワー
  クショップの中でも「meet the artist」は、アーティストと市民が1年間にわたり、じっくりと創造的な活動に
  関わっていく長期ワークショップシリーズでございまして、昨年度は映像制作や、仮設スタジオの運営など、
  「映像」をテーマとした一連の体験事業を行っております。なお、参加者のひとりは、ワークショップで学んだ
  映像制作や、インターネットによる映像配信の技術を、市民活動支援センター「さぽらんて」での活動や、そ
  の広報において活かしているとのことでございます。

  今後も次代を担う若者たちを始めとする市民参加のもと、センターの特色をいかしたさまざまな学習機会
  を提供し、創造性と感性豊かな人材育成に寄与してまいりたいと考えております。

  次に、成長戦略との関係についてでございますが、まず、センター事業計画の基本方針の中で、「さまざ
  まな技術の活用による新産業・新事業の創出に寄与する活動に取り組むことにより、市民の誇りとなる施
  設づくりを目指す」こととしており、そういった意味では、アートとテクノロジーが融合するメディア芸術は、産
  業化のシーズとなり得るものと捉えているところでございます。
 
  現在、センターで展示しております「ジ・アイライター」というメディア芸術作品を例にとりますと、この作品
  は視覚の動きにより文字を入力したり、絵を描いたりすることのできる装置でございまして、筋委縮性側策
  硬化症という、筋肉の委縮と筋力低下をきたす難病を患ったアーティストの「再び絵を描けるようになりた
  い」という願いを受け、開発されたものでございまして、メディア芸術の福祉分野への応用を示唆するもの
  であると感じております。

  また、この展示に関連したワークショップを開催したところ、医療現場で実際にリハビリのサポートに従事
  している言語聴覚士の方も参加され、アイライターの作り方や、部品購入の方法について熱心な質問をさ
  れたとのことでございます。こういった福祉現場で働く方をはじめ、さまざまな職種の方から相談や問い合
  わせは既に相当数にのぼっているとのことでございます。センターが、こうした新産業・新事業の創出に寄
  与する技術開発に主体的に関わり、社会貢献につながる成果を発揮しつつあるところであり、市内の事業
  者の皆様においても、センターの活動に関心を寄せられ、連携が生まれ、新たな波及につながることを期
  待するところでございます。

  また、芸術文化の価値創造についてでございますが、本来創造性豊かな芸術文化は多様な文化のそ
  れぞれが価値を持つものであり、その多様性や異文化の融合が新たな価値を創造し、まちの魅力の向
  上に繋がっていくものと考えております。

  従いまして、メディア芸術をはじめとする先端的な芸術につきましても、伝統文化、音楽、絵画などと等し
  く、山口のまちの魅力を生み出す個性あふれる文化のひとつとして、まちの価値創造に寄与するものと
  考えているところでございます。

  また、メディア芸術に関する市民の認識とのギャップについてでございますが、センター事業計画の策定
  にあたり、平成20年度に実施した市民アンケートによりますと、「次代を担う子供や若者たちにとって先
  端的な芸術を鑑賞できる環境が身近にあること」について、65%が必要と感じており、特に20歳代以下
  にあたっては83%となるなど、年齢が若いほどメディア芸術を中心とした先端的な取り組みへの理解を
  いただいているところでございます。
 
  このように若者を中心に受け入れられていることは、他の施設では見られないセンターの顕著な傾向で
  ございます。これは地方都市においては類をみないものでございまして、次代を担う子供や若者たちの
  創造的なエネルギーにあふれる施設として、山口の新しいまちの魅力となっていると認識しているところ
  でございます。
 
  次に、山口情報芸術センター10周年記念事業への坂本龍一氏起用の経緯についてのお尋ねでござい
  ますが、この記念事業ではセンターが施設の枠を越え、あらゆる空間や生きる場面において、アートを通
  して山口の未来を創造していこうという思いから、「環境」、「アート」、「ライフ(住む)」という、3つのキーワ
  ードを設定致しました。その上でこのキーワードに共感していただくことのできる方、また、これまでもセン
  ターとの関わりがあり、その活動にご理解をいただいている方を基準に選定し、このたび承諾をいただい
  たものでございます。

  坂本氏は音楽活動はもちろんのこと、メディアアートにも早い時期から興味を持たれておりまして、198
  0年代には映像と音楽とを融合させた作品を制作されております。また、センターでは2006年に開催し
  たライブコンサートのほか、2007年には本市において滞在制作されたメディアアート作品を発表されて
  おります。

  また、坂本氏は環境問題にも熱心に取り組まれており、音楽活動という枠を超え、芸術文化が世界へ、
  また未来に向けて果たすことのできる役割は何かを探求し、実践しておられます。

  坂本氏のこうした視点や活動は、本市が10周年記念事業において目指すものと共通する点が多いと感
  じており、また、坂本氏からも「2050年」を見据えた環境やアートを展望し、山口市そのものをランドスケ
  ープとして展開したい」との意気込みを伺っておりまして、坂本氏が芸術や文化を通した山口の未来像を
  どのように描くのかに期待するとともに、今後議論を深めながら10周年記念事業を具現化してまいりた
  いと考えております。

  また、12月16日のメディアレクチャーについてでございますが、この事業は「2050年から見る環境と芸
  術の未来」と題した2部構成のイベントでございまして、第1部では坂本龍一氏と竹村真一氏による対談を
  、第2部では坂本氏のピアノとサチコ・エム氏の電子楽器によるコンサートを行うものでございます。これら
   を合わせた事業費の合計は約380万円となっております。
  
  なお、来年度及び平成25年度の事業費につきましては市の予算編成作業の一環として予算規模を固め
  ることとしておりますが、10周年記念事業につきましては内容が固まった段階で概算事業費等をお示しで
  きるものと考えております。

  次に文化庁から採択を受けました「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」の対象である「ダンスXメデ
  ィアから始まるコミュニティ・プロジェクト」の事業内容につきましては「親子で楽しむ演劇&ダンス2010」と
  題した2歳から鑑賞できる舞台公演と、家族や戦争について考える演劇公演を実施したほか、センターの
  舞台裏を見学する「夏休みYCAM探検クルーズ」、現代ダンスの公演を2本、そしてこれに伴うダンスワーク
  ショップとダンス公演の制作現場体験、さらに音響と映像を駆使したコンサートを実施したところでございま
  す。文化庁からの助成を受けまして、質の高い舞台芸術を鑑賞する機会を提供するとともに、専門知識を
  追求する人から子供たちに至るまで、多様なニーズに応じ豊かな感性やコミュニケーション能力の醸成、さ
  らには専門技術の向上に繋がるプログラムを提供することができたものと認識いたしております。 
 
ウ.地域の歴史と地名 

昭和37年の住居表示に関する法律の施行に基づきまして、本市でも昭和40年に山口市住居表
  示に関する条例、山口市住居表示審議会条例等、その実施について必要な措置を定められ、昭和
  40年から湯田、白石、大殿を皮切りに変更され、周辺部も新しいところでは吉敷地域の住居表
  示が変更されました。住居表示を実施するにあたっては、地域住民の総意の上で進めることが非
  常に重要なポイントとなっており、これは実施地区の範囲とか、あるいは名称の決定の際に従来
  の地名の歴史とか伝統とか、さらには文化を考慮した上で、その地区の地名を決定するというこ
  とが必要なわけでございまして、これらは地区住民の、皆さんの御意見が、地区の名前を決める
  場合等には非常に重要になってまいります。

 そのような手順で住居表示を新しくされておられますが、最近、昔の町名が懐かしいという市民
  の方の声が聞こえて参りました。そこで御紹介したいのが金沢市コミュニティ再生事業旧町名復
  活事業です。この事業の意義は「自分の住んでいるまちの名前に誇りを持つ。その誇りが町への
  愛着に繋がる。さらにその愛着が住む住人同士の連帯へと連なり、この連帯の心がまちをつくる、
  町のみんなで支え合う心が21世紀の時代には必要だと
考えておられます。

   旧町名復活の目的は、単に昭和40年頃の町名に戻すことではなく、支え合うこころ、連帯の心
  による未来に向けたまちづくりを目的とされています。

  昭和54年に、市政90周年を記念して「金沢市歴史のまちしるべ標示事業」を実施され、消え
  た旧町名の中から旧町名を選定して石柱を建て、旧町名を後世に継承することとされ、その後平
  成16年に「旧町名復活推進条例」を制定されました。旧町名を歴史的文化遺産として後世に継
  承する。平成23年3月現在で222基建てられています。

  本市は大内文化まちづくりを進めておられます。是非、金沢市のように歴史のまちしるべ標示事
  業を進められ、山口の地域の歴史と文化を生かしたまちづくりを充実されたら如何でしょうか?
  お伺いいたします。

 
 
 
総合政策部長答弁

   次に地域の歴史と地名について金沢市が実施された「金沢市コミュニティ再生事業」にならい、旧町名復
   活事業を行ってはどうかとのお尋ねでございます。

   ご案内のとおり、本市でも国において住居表示制度が導入された当初、市街化の進んでいた大殿、白石
   湯田地区を中心に、昭和40年代に住居表示を実施して参った結果、効率性が重視され、旧町名が住所
   の表示から失われてきている状況がございます。

   議員ご指摘のとおり、住所から失われた旧町名の中には、「立売」や「御局小路」など山口市が繁栄した
   往時の情景をしのばせるまさに歴史の足跡が刻まれているといえるものがいくつかございます。

   しかしながら、金沢市の事例のような住居表示制度に基づき旧町名を住所の表示に復活させる取り組み
   には、実施後の各種住所変更の手続きにおいて住民負担を伴いますことから、実施にあたっては関係
   地区住民への取り組み、趣旨の理解はもとより、まずもって住民の皆様からの気運の盛り上がりが不可
   欠であると考えているところでございます。

   本市における事例といたしましては、大内文化特定地域において、室町時代に栄えた大内氏の栄華の
   面影を復活させ、観光としてのまちづくりに活かすため、「大路」、「小路」などの「通り名称」のサイン整備
   を民間団体と地元住民が一体となって実施し、平成18年度までに76基を設置されております。こうした
   取り組みは、地域の機運を盛り上げていく上でも、ひとつのモデルとなるものと考えているところでござい
   ます。

   いずれにいたしましても、旧町名の復活の取り組みは、関係住民の機運の盛り上がりや、コンセンサス
   が不可欠でございますので、まずは町名の背景となる地域の歴史や由来について認識を深めていただ
   く取組を進めるとともに、住居表示制度導入に限らず、効果的な町名の表示方法などについても研究し
   て参りたいと考えております。